薔薇の名前 その2

前回は、『薔薇の名前』をもとに、ゴシックロリータにおける闇についてのお話をさせていただきました。

中世を舞台にした『薔薇の名前』。作品における闇は、聖なる闇というよりも、権力欲の絡んだいわば人間臭いどろどろした闇なのですが、─該博なるウンベルト・エーコの力量によるのでしょう─私たちはたっぷりと中世自体の雰囲気に浸ることが出来ます。

中世の修道院という閉じられた社会の描写には、ゴシックロリータの世界に通ずる何かを感じざるを得ません。

ゴシックロリータ自体は、ある意味一種の流行ともいえます。ただし、自らをゴシックロリータ世界の住人として認めている人たちとお話してみると、みなそれぞれ独自の精神論を持っていて驚かされます。各自、美意識をキーワードに、ある種のこだわりを披露。それも、そのこだわりにはそれぞれ理由がある…

恐らく人間というものは、周囲の状況に動かされているだけでは、機械と変わらない存在となってしまうのかもしれません。そして、自ら動くためには、自らの確固とした精神論が必要になってくるのではないでしょうか。それは、自らのものであるため、時折(あるいは、しばしば)世間の常識と衝突します。

そして、自らの精神に忠実であろうとするならば、世間の常識に対して取れるのは、二つの選択肢しかないのではないでしょうか。一つは戦うこと、もう一つは閉じること…

私見ですが、ゴシックロリータの精神は、世間の常識と衝突した際には戦うよりもむしろ閉じる方向に向かうように感じられます。というのも(あくまでも私の経験の範囲でなのですが)、ゴシックロリータを好むタイプの人は、ゴシックロリータに無関心な人を無理に自らの世界に誘うようなことはあまりしませんが、ゴシックロリータに理解を示せない人たちになんと言われようと構わず自らのスタイルを貫き通していることが多いように感じられるからです。

以上は、外界に対して戦うのではなくして、外界に対して閉じる戦略なのではないでしょうか。この「閉じる」というキーワードの持つイメージが、ゴシックロリータと中世とを結びつける一つの鍵のような気がするのです。

そしてこの「閉じる」というキーワードは薔薇ともつながりを持っているようなのですが、それについてはまた後ほどお話したいと思います。
この記事へのコメント
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失礼いたします。
Posted by magazinn55 at 2007年09月05日 06:21
はじめまして。

「薔薇の名前」で記事を書いたので
TBさせていただきます。

ペストに見舞われた中世に流行したゴシック様式が
産業革命で汚れた19世紀イギリスに
ゴシック・リバイバルとして復活し、
その潮流が現代のミュージック・シーンを
中心として受け継がれている……
という歴史を考えると、
近現代もまた「闇」に閉ざされているのかもしれませんね。
Posted by 紫式子 at 2007年09月25日 12:55
>紫式子様
はじめまして。コメントありがとうございます。
お返事遅くなりまして申し訳ございません。

19世紀末もまた、ゴシックロリータ的な雰囲気が濃厚な時代ですよね。象徴主義あり、黄金の夜明け団ありと、いわゆる「美しい闇」の香りが…

現代の闇は、醜い闇のような気がしてしまいますので、19世紀末には郷愁を感じてしまいます。
Posted by ハダリー@管理人 at 2007年10月22日 20:56
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